アジア節水会議について

地球温暖化対策と水資源の有効利用は、アジア諸国において喫緊の環境課題となっている。節水は、水資源の保全のみならずCO2排出量の削減に寄与する。エネルギーはさまざまなソースを選択できるのに対して水は代替できないこと、水資源が地域偏在し、季節変化の大きく、不安定であることから、建物での水需給のコントロールが重要になっている。雨水利用や排水利用などによる水供給の増加対策と共に、水需要低減対策として節水が有効である。この節水は、節水機器の発展・普及と使用者の意識向上により、効果的に進展される。

6L便器に代表されるように、近年の節水機器の発展はめざましいものがある。各種水栓、シャワーなどの衛生器具の他に、洗濯機、食洗機などの家電品の節水化も進んでいる。衛生器具を対象とすると、日本においては、「節水機器」を普及させることが、削減の進んでいない家庭分野のCO2削減に有効であり、2020年には、節水機器の普及により、日本のCO2排出量を90年比1%(水まわり由来排出の25%)の削減が可能であるとするシミュレーション研究が産業界においてなされた。この研究も参考の1つとされて節水型社会形成の推進が重要との認識が進み、国内クレジット制度へ節水機器が適用される等、各種政策が動き始めた。なお、これらの活動はグリーン建築の志向にも合致する。

この研究で提示された予測・評価手法は、アジア諸国全域にも適用可能であることから、環境省の 「新メカニズム実現可能性調査事業(GEC)」において、節水効果におる炭素クレジット化の実現可能性調査研究も始まっている。この「節水型社会の形成」のシナリオ提案は、アジア諸国の持続性発展の1つの共通キーコンセプトになることが期待される。 アジア諸国での建築設備の節水化の意義(CO2削減・水資源保全ポテンシャル)を踏まえた上で、諸国での環境負荷削減シナリオを構築し、節水化社会への力強い移行を図るためには、水・環境・建築分野の各国の研究者、政策立案者等がこの方策を共有し、連携して推進するための場が必要となる。

以上の観点から、中国、韓国、台湾、中国香港、日本の研究機関で構成するコンソーシアムとしての「アジア節水会議」が設立された。この会議は、節水型社会の形成に向けて、適宜に共同研究、シンポジウム、検討会などを実施する。



アジア節水会議代表幹事(明治大学教授)

 

坂上恭助